もしも君が助けてくれたら
「明日楽しみだな」
「んー・・・。そうだねぇ」
あまり気乗りのしない言葉に秀が少し肩を竦めた。
「ま、由良はあんま興味ねぇか」
「へへー」
そして、少しの沈黙の間、秀が気まずそうに言った。
「あの、さ」
「んー?」
「お前の母さん、どうだ?」
あぁ、その話か。
私は自分の靴先をぼんやりと見つめながら答えた。
「あー、順調だよー」
「・・・そっか。あの、さ、父さんとは会ったか?」
あれから・・・。
父さんと会った覚えがあるだろうか・・・?
「・・・いや、会ってない・・・のかなぁ」
すると、秀が苦笑いを浮かべた。
「ははっ。何それ。曖昧だな」
「まぁねぇ。昨日の夕飯も覚えてないほどの記憶力の悪さだからなぁ」
小さく笑うと、秀が私の頭に手を乗せた。
「ま、ゆっくりと頑張れや」
その手の温もりが少しだけ好きだった。
そして、深く追求しない秀の性格も。
「うん。そうする」