もしも君が助けてくれたら
「曉輝です。よろしくお願いします」

その声は確かにハスキーボイスと言ってもいいと思った。

確かに、少し安らぐ声だった。

けど、それよりもっと気になることがあった。

「あ・・・」

ふとみた校庭に生えている大きな木に猫が登っていた。

また、あの猫だ・・・。

白と黒の色が交じった猫は前にも大きなあの木に登っていたっけ。

でも、確か下りられないんだっけ。

後で下ろしに行かないとな・・・。

でも、今はひなたぼっこをするために木に登っているからまだ助けに行かなくてもいいかな・・・。

そんなことを考えていたから、先生の言葉には気づかなかった。

気づいたのは、ガタン、という椅子の音が隣でした時。

視線を隣にやると、転入生がすまし顔で隣に座っていた。

そういえば、ずっと気になってた。

空っぽの隣の席。

なんてことだ・・・。

転入生が隣に座るなんて。

ふと奈々ちゃんを見ると、ガッツポーズをしていた。

・・・彼氏なんてありえないから・・・。

私はその言葉を飲み込んだ。

「柊はいっつも惚けてるし人の話はあんまり聞いてないことが多いが、結構役に立つからな。頼みごとがあったら柊に頼め。学級委員長だしな。うん!」

先生の言葉そこそこヒドイこと言ってるけどあえてスルーしておこう。

うん、そうしたほうがいい。

チラッと隣を見ると、転入生と目があった。

そのまま目を離すのも悪い気がして話しかけてしまった。

あぁ、らしくない・・・。
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