ともだちのつくりかた。
幸いにして森林である為、木陰はいくらでもできたが、それでも、暑かった。

ただただ、暑くて、何より、喉が渇いた。


蝉が、五月蝿かった。


どれほどの時間を一人で過ごしただろうか。

時間の経過が恐ろしく緩やかだった。

一分が、一秒が、こんなにも長いものだとは思わなかった。

今の僕が信じている一秒が本当に一秒なのかどうかさえ危うかった。

昼には蝉の鳴き声と蚊の羽音に囲まれ、夜は謎の生き物の鳴き声や、やはり蚊の音に囲まれた。

夜は、昼の時間よりも、とにかく長かった。

暗くて、暗くて、何も見えなかった。

音だけがそこにはあった。

何の生物かも分からない、何かの鳴き声だけが、ただ、響いていた。

僕にはただ少女を待つことしかできなかった。

僕をスタンガンで気絶させ、ご丁寧に後ろ手に縛り上げ、地面に埋めた、少女を。
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