ともだちのつくりかた。
既に頭はくらくらしていた。

木陰とは言えこの炎天下、それも食事はおろか飲み物すら飲まずに三日も過ごしていれば、そうなることくらいは容易に予想がついただろうが、真面目な彼女はただ儀式に愚直に忠実だった。

餓死以外で死んだ場合などというイレギュラーは想定していなかったのだろう。

尤も、そもそも犬で行うべき儀式を人間相手に行っている時点でどうかとは思うが。


「水、持ってないの?」


僕の言葉に、少女はやや迷った後に、いつも抱えているリュックを探り出した。

すぐにペットボトルを取り出すと、蓋を取り外す。

が、それを手に持ったまま止まってしまった。
< 23 / 63 >

この作品をシェア

pagetop