ともだちのつくりかた。
「そろそろ、そこも居心地がよくなってきたんじゃないですか?」


「そんなわけないだろ」


肉まんをほおばりながら言う少女に、僕はぶっきらぼうに答える。


蝉の大合唱に声が負けそうになる。汗が頬を伝った。

痒い。


「いつまで続けるの、こんな馬鹿なこと」


「さぁ」


僕が問うと、少女は無愛想に答えた。

僅かに開いた口から、矯正器具が見え隠れする。

殴り飛ばして器具ごと歯並びを無茶苦茶にしてやりたい。
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