ともだちのつくりかた。
「……本当に、友達に、なってくれる?」


ぼそぼそと、泣きそうな声で、少女が言う。


「だから、もう、友達で、いいって」


少なくとも、ここからは出して欲しいとは思うけれど。


「嘘つき。絶対嘘。信じられない」


「……ストックホルム症候群って、知ってる?」


いやいやと頭を振っていた少女に、僕はぼんやりと思い出したことを話す。


「またそういう難しい言葉を使う」


「……何らかの事件において、長時間、監禁とか、された被害者が、犯人に情を持っちゃうって、いう話なんだけど」


元の事件がその症状の名前になったんだっけかな、ああでも、もう話すの億劫だ。
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