ともだちのつくりかた。
縛られて監禁などされたことはないが、恐らくとても快適なのだろうと思う。

少なくとも身じろぎができる分、地面に埋められることよりはずっとマシだろう。

後ろ手で縛られているのか、身動き一つ取れず、じっとりと湿った土の中にいるのは、とにかく不快で不快でたまらなかった。

おまけにここは森の中で、やぶ蚊がいた。

顔の周りをぶぅんぶぅんと飛び回り、いくら頭を振り払ってもやってくる。

叩き殺す為の手がない僕は、ただただ吸われるままになる。

顔中に虫刺され跡ができているだろうが、それを確認することもできない。

ただ、痒い。

気が狂いそうだった。

もしかしたら今頃僕の顔はぶくぶくに腫れ上がっていて、人の形をしていないのではないだろうか。
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