意地っぱりなお姫様
1.片思い

意地っぱりな姫

校舎の教室まで聞こえてくる掛け声。
私は教室の窓からボーッと運動場を眺める。



カキーンッ


あ、ホームランかな…。


白いユニホームを着た少年が振ったバットにピッチャーの投げたボールがあたる。
少年が全力疾走でホームベースへと向かう。



「李亜(リア)、また野球部見てるー」



ハッとして視線を逸らし後ろを向く。



「べ、別に見てなんかないわよ」

「はいはい」



ニヤつきながら私の隣のイスに座る舞(マイ)。
私は慌てて机に置いてあった自分の鞄を持って立ち上がる。



「えー、もう帰るの?見ていかないの?」

「だから、見てないって!舞のこと待ってたのよ!帰ろう!」



無理やり舞の腕を掴んで立たせる。



「わかった、わかった……あ!佐藤君!」



ビクッとして舞の向く方向に視線を向ける。



「あ、まだ居たんスね」

「うん、てか佐藤君 野球部おわったの?」

「今、終わったとこっスよ」



笑顔で舞と話す少年。
まぎれもなく、さっきホームランを打った少年。


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