意地っぱりなお姫様
「李亜も残ってたの?勉強?」
舞に向けられていた笑顔が私に向けられる。
舞のやつ隣でニヤニヤしすぎだって。
「勉強なんてするわけないでしょ、元から賢いもん」
フンッと顔を背ける。
「そうだよなー、李亜 賢いもんな」
ははっと笑って自分の席にある荷物を肩から提げる。
「佐藤君、忘れ物?」
「置き勉してた教科書取りにきたんスよ」
「そっか、佐藤君も頭良いもんねー」
「そんなことないっスよ」
そう言って教室から出ていく少年。
「よかったね、李亜~!」
「何が!?」
「隠さなくてもいいって。バレてるから」
「…………」
「好きなんでしょ?佐藤君」
そう、私 小出李亜(コイデ リア)は
野球少年、佐藤秀吉(サトウ ヒデキチ)が好きなんです。