意地っぱりなお姫様
「教えてもらえよ!お前より全然、ヒデは頭いいからな!」
お兄ちゃんが携帯をいじりながらケラケラと言う。
あんたも携帯なんていじってないで勉強すればいいのに!
お兄ちゃんを睨みながら、ヒデの隣に座った。
「俺のわかる範囲だったら教えてあげれるけど……何がわかんないの?」
ヒデが私の方を向いて、教科書を差し出す。
か、顔が近いって…!
「す、数学……のベクトル…」
ちょっと何どもってんの!?
らしくない、らしくない。
チラッとヒデの方を見ると『ベクトルね』と言って、数学の教科書を持っている。
あ……教えてくれるんだ。
やっぱヒデは優しいな……。
「それよりヒデ!お前、今日 1年の由美ちゃんに告られてただろう?」
お兄ちゃんが身を乗り出してヒデに聞いてくる。
こ、告白!?
「……まぁ」
「返事どうしたんだよ?」
「…断ったよ」
ヒデはちょっと照れたような困ったような表情を見せた。
えぇ!?1年の由美ちゃんって誰よ!?