不良狼は一途に溺愛中
後ろを向くと、ポカンと口を開ける美咲さんの姿が目に映った。
「えっ、柚ちゃん…」
目を見開いて、かなり驚いている様子だ。
それもそうだよな。
俺が柚を抱きかかえてる状態なわけだし。
美咲さんに、この状況をどういう風に説明しようかと考えていると、兄貴が興奮気味に口を開いた。
「美咲、事件だ事件っ!!蓮のヤツ、柚ちゃんを自分の部屋に無理やり連れ込もうとしてるんだよ!!」
「ハァァッ!?」
兄貴の言葉に、俺の眉間には一気にシワが寄っていった。
勝手に事件にしてんじゃねぇ。
しかも、無理やり連れて来た…ってわけでもねぇよ。
沸々と怒りが込み上げてきた。