不良狼は一途に溺愛中

「おい兄貴っ!デタラメなこと言ってんじゃねぇ。」


「デタラメなんかじゃねぇだろ?だって、この状況が全てを物語ってるわけだし。」


「だから、違うって言って……」


そう言い掛けたところで、ツンツンと服を軽く引っ張られる感覚がした。


俺はすぐに視線を落とす。


すると、真っ赤な顔をした柚が俺を見上げていた。


「蓮…早く降ろしてっ…。は、恥ずかしいよ…。」


潤んだ瞳に真っ直ぐ見つめられて、鼓動が速さを増していく。


やば…。
可愛いすぎるだろ。


恥ずかしがっている柚には悪いが、そう感じてしまった。


「ほら見ろ!柚ちゃん…嫌がってるじゃないか!お前が強引に連れ込もうとしている何よりの証拠だろ!!」


「何が証拠だ!訳の分からないことばっかり言ってる暇あったら、さっさと部屋で寝てろ!」


「柚ちゃんが襲われそうになってるのを見て見ぬフリは出来ねぇよ。」


「なんだと!?」


兄貴と言い合っていると、美咲さんがパンッと手を大きく鳴らした。



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