不良狼は一途に溺愛中
「はいはい、兄弟ゲンカはそれぐらいにしてよね!それから、蓮は柚ちゃんを降ろしてあげなさい!あまり強引過ぎると愛想尽かされちゃうわよ?」
「…………。」
美咲さんにビシッと言われた俺は言葉に詰まる。
柚に嫌われるのだけは絶対にイヤだ。
そう思い、渋々…彼女を降ろした。
「さあ、柚ちゃん!私の部屋に戻って、ゆっくり休みましょ?ねっ?」
「は、はい…。」
美咲さんの言葉に頷いた柚は、俺の方をチラリと見た。
「じゃ、じゃあ…おやすみ、蓮。」
「ああ、おやすみ。」
笑顔で柚に言ったものの、名残惜しさが心を占めていた。
あぁ…引き留めてぇ。
だけど、この不利な状況じゃ…諦めざるを得ないな…。
美咲さんに連れられて部屋へと戻っていく柚を見ながら、ため息が零れた。