不良狼は一途に溺愛中
「ふう、一件落着。これで柚ちゃんも、ゆっくり休めるな!」
満足げに笑う兄貴は、さっさと自分の部屋に入って行く。
その姿をキッと睨みつけた。
ったく、何が“一件落着”だよ。
ただ単に邪魔しただけじゃねぇか。
おかげで、柚と一緒に居られる時間が大幅に減った…。
俺はガクッと肩を落としながら、すごすごと部屋に戻り、布団に寝転がった。
はぁ…。
泊まりがけの外出だから楽しみにしてたってのに、結局…夜は一人かよ。
兄貴の家で二人きりの時間を過ごせるなんて思っていたのは、甘い考えだったな。
カーテンの隙間から月明かりが漏れる部屋の中。
俺は、残念…と言わんばかりに盛大なため息を零した。