不良狼は一途に溺愛中
「おふくろ、もしかして…兄貴の家にいるのか?」
『ええ、そうなのよ〜!ちなみに、お父さんも一緒よっ!』
「親父も!?」
二人揃ってるなんて、珍しいな…。
親父は国内、おふくろは海外。
それぞれが仕事で忙しくしてるから、二人が会う機会は、あまりないのに…。
『久しぶりに響や蓮の顔が見たくなって、お父さんと二人で頑張って休みを合わせたのよ〜。』
ふふ、と電話の向こうで笑っているおふくろに、苦笑いを浮かべた。
「別に頑張らなくてもいいだろ、そんなこと。」
『“そんなこと”とは何よっ!お母さんたちにとっては、大事なことなんだから!』
「はいはい。じゃあ俺のところにも来るわけ?」
『当たり前でしょ!明日行くから宜しくね!あっ、そうそう…』
話が終わるのかと思いきや、何かを思い出したかのような声が聞こえてきた。
『お母さん、柚ちゃんに会ってみたいんだけど、明日…会うこと出来る?』