不良狼は一途に溺愛中
「ゆ、柚!?」
まさか、おふくろの口から柚の名前が飛び出してくるとは思ってなかった俺。
陸都や秀夜が見ている前で、素っ頓狂な声を出してしまった。
「な、なんでその名前…。」
『響から聞いたのよ!蓮ってば、とっても可愛い彼女が出来たんですってね!家にも頻繁に呼んでるらしいじゃない〜!』
兄貴のヤツ、ペラペラと喋りやがって。
今度会ったら、ただじゃおかねぇ。
怒りの炎を燃やす俺に反して、おふくろのテンションは更に上がる一方だ。
『お母さんもお父さんも、蓮が一途に想ってる柚ちゃんに興味津々なのよ!せっかくの機会だし、是非一度、会ってみたいの!ねぇ、お願い!柚ちゃんに頼んでみてくれない?』
「だけど、柚にも都合が…」
『あ、美咲ちゃんの携帯で長話するのは悪いから、この辺で切るわね!じゃあ明日…楽しみにしてるから!』
「ちょ、待てよ…おふくろ。」
俺の言葉を聞かずに、さっさと電話は切れてしまった。