不良狼は一途に溺愛中
「えっ?」
驚いたように瞬きをする柚に言葉を続ける。
「付き合い始めて時間も経つし、そろそろ“蓮”って呼べよ。」
俺は、彼女の瞳を真っ直ぐ見つめた。
両想いになる前は、“蓮君”でもいいと思ってた。
柚に名前を呼んでもらえることに、嬉しさを感じたんだ。
でも……
想いが通じ合ったわけだし、俺も君付けされるような柄じゃない。
だから、名前だけを呼んで欲しいんだよな…。
「え、えっと……」
柚は途端にソワソワし始める。
視線をあちこちに泳がせた。
「きゅ、急に呼び方を変えるのは抵抗が……。それに、“蓮君”って呼ぶのに慣れちゃったから、このままでもいいかな…って思ってるんだけど……。」
「そんなのダメに決まってんだろ!」
か細い声で話す柚に、俺は思わず大きな声を出していた。