不良狼は一途に溺愛中

「早崎…。」


俺の眉間にグッとシワが寄る。


心の中に、怒りの感情が一気に広がっていくのを感じた。


「久しぶりね!こうして話すの…。」


「てめぇ、何しに来た。」


キッと睨み付ける。


早崎と話すのは、体育館裏での一件以来だ。


あの時に最終警告をしてからは、柚に一切近付いて来なかったし、俺のところに来ることも無くなっていた。


ようやく大人しくなったと思っていたんだが……。


「ちょっと話したいことがあるの。御苅さんのことで。」


「は?柚のこと…だと?」


彼女の名前に反応して、ピクリと眉が上がった。


「まさか、この期に及んで…また柚に何かするつもりなわけ?てめぇも随分、いい度胸してんじゃねぇか…。」


怒りでグッと拳を握ると、早崎は少し慌てた様子で首を左右に振った。


「違うわよ。別に、あの女に手を出すなんてこと…もう考えてないわ…。更に蓮の怒りをかうだけだし。」


「じゃあ、一体なんなんだよ。」


鋭く目を細める俺に、早崎は意味深な笑みを浮かべた。



< 170 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop