不良狼は一途に溺愛中
「早崎…。」
俺の眉間にグッとシワが寄る。
心の中に、怒りの感情が一気に広がっていくのを感じた。
「久しぶりね!こうして話すの…。」
「てめぇ、何しに来た。」
キッと睨み付ける。
早崎と話すのは、体育館裏での一件以来だ。
あの時に最終警告をしてからは、柚に一切近付いて来なかったし、俺のところに来ることも無くなっていた。
ようやく大人しくなったと思っていたんだが……。
「ちょっと話したいことがあるの。御苅さんのことで。」
「は?柚のこと…だと?」
彼女の名前に反応して、ピクリと眉が上がった。
「まさか、この期に及んで…また柚に何かするつもりなわけ?てめぇも随分、いい度胸してんじゃねぇか…。」
怒りでグッと拳を握ると、早崎は少し慌てた様子で首を左右に振った。
「違うわよ。別に、あの女に手を出すなんてこと…もう考えてないわ…。更に蓮の怒りをかうだけだし。」
「じゃあ、一体なんなんだよ。」
鋭く目を細める俺に、早崎は意味深な笑みを浮かべた。