不良狼は一途に溺愛中
「おととい、駅前で御苅さんが年上の男の人と一緒に歩いているところを見たのよ。」
は…?
柚が……?
早崎の言葉に一瞬、ポカンと口を開けて固まってしまったものの、すぐに苦笑してしまった。
「お前、そんな嘘に俺が騙されるとでも思ってんのか?」
柚に直接手を出さねぇ代わりに、今度はデタラメな嘘を吹き込もうだなんて。
ったく、馬鹿馬鹿しい。
「う、嘘じゃないわよ!私の友達も一緒に見たんだから!」
友達って、もしやあの取り巻きの女たちのことか?
ますます嘘っぽい。
詰め寄る早崎に、溜め息が零れた。
「信じてないみたいだけど、あれは絶対に御苅さんだったわよ!見間違いなんかじゃないんだから!」
「あっそ。」
取り合うだけ時間のムダだ。
柚が待ってるし、もう戻らねぇと。
教室に向かって歩き出そうとした瞬間、早崎はガシッと俺の腕を掴んだ。