不良狼は一途に溺愛中
「休んでる間のプリント、結構…たくさんあったでしょ?」
「ん?ああ、そうだな。特に数学、多過ぎだ。」
「あの数学の先生、色んな資料や問題をプリントにして配るのが好きだからね…。」
「……確かに。」
帰り道、柚と他愛ない会話をしながら歩く。
楽しい時間に癒されつつも、頭の中には先ほどの早崎の言葉が再生されていた。
柚が…俺以外の男と一緒に居たなんてこと、あるわけねぇ…。
でも……
なんか気になる…。
気にしたくないのに、気になっちまう…。
…………。
一応、柚に聞いてみようか…?
いやいや、ハッキリとした確証がないのに疑うなんて…柚に失礼だよな。
一人で葛藤していると、柚が急に立ち止まった。
「蓮、どうしたの?何だか、難しそうな顔してるよ…?」
「いや、何でもねぇ…。ちょっと考え事してた。ごめんな。」
ジッと見つめる柚に苦笑いしながら答えた。
あー、クソッ!
早崎の言葉なんて聞くんじゃなかった…。
無視して直ぐに教室に戻れば、色々と考えずに済んだってのに…。
クシャッと頭を掻いていると、柚が“あの……”と声を発した。