不良狼は一途に溺愛中

「休んでる間のプリント、結構…たくさんあったでしょ?」


「ん?ああ、そうだな。特に数学、多過ぎだ。」


「あの数学の先生、色んな資料や問題をプリントにして配るのが好きだからね…。」


「……確かに。」


帰り道、柚と他愛ない会話をしながら歩く。


楽しい時間に癒されつつも、頭の中には先ほどの早崎の言葉が再生されていた。


柚が…俺以外の男と一緒に居たなんてこと、あるわけねぇ…。


でも……


なんか気になる…。


気にしたくないのに、気になっちまう…。


…………。


一応、柚に聞いてみようか…?


いやいや、ハッキリとした確証がないのに疑うなんて…柚に失礼だよな。


一人で葛藤していると、柚が急に立ち止まった。


「蓮、どうしたの?何だか、難しそうな顔してるよ…?」


「いや、何でもねぇ…。ちょっと考え事してた。ごめんな。」


ジッと見つめる柚に苦笑いしながら答えた。


あー、クソッ!
早崎の言葉なんて聞くんじゃなかった…。


無視して直ぐに教室に戻れば、色々と考えずに済んだってのに…。


クシャッと頭を掻いていると、柚が“あの……”と声を発した。



< 176 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop