不良狼は一途に溺愛中
「良かったぁ…。都合悪かったら、どうしようかと思ってドキドキしちゃった…。」
柚はホッとした笑みを浮かべながら、胸を撫で下ろした。
可愛い…。
その姿に、心がどこまでも穏やかになっていくのを感じた。
「じゃあ、お昼頃に駅前の噴水広場で待ち合わせ…でいい?」
「ああ、分かった。」
噴水広場か…。
俺が、柚を初めてデートに誘った時の待ち合わせ場所も、そこだったんだよな…。
あの時は…まだ柚と付き合っていなかったけど、すげぇ楽しかったっけ。
柚に対する“好き”の気持ちが、ますます強くなったんだよな…。
あの日のことを思い出しながら、笑みが零れる。
俺は足取り軽く、柚を家まで送った。
さっさと土曜日にならねぇかな。
待ち遠しさのあまり、ついついそんなことを考えてしまう。
楽しみな気持ちが胸いっぱいに広がっていた。
まさか、デート当日に忘れようとした、あの噂を再び聞くことになるなんて、思いも寄らずに…。