不良狼は一途に溺愛中
「えっ、ど…どうしたの?」
「まだ時間はあるんだから、そんなに急ぐなよ。もう少し休め。」
な?と穏やかな声を掛けると、柚はリビングの時計に視線を向けた。
「じゃあ…そうしようかな。」
柚は照れくさそうに微笑む。
出来れば、ずっと休んでもらって構わないんだけどな。
心の中で思いながら、彼女のサラサラとした綺麗な髪を何度も梳く。
甘い香りがフンワリと漂ってきて、俺の鼻をくすぐった。
すげぇ、癒される。
嬉しい気持ちを滲ませていると、柚の体が不意に俺の方へ凭れかかってきた。
「柚!?」
ビックリして顔を覗き込むと、彼女の口から“ふぁ…”と欠伸が漏れた。
「優しく髪を梳かれてたら、眠くなっちゃった…。」
ウトウトしている柚に、心臓の音が急激に大きくなるのを感じた。