不良狼は一途に溺愛中
「ど、どうしたの…?」
「柚を見てた。」
小声で訊ねる柚に素直に答えると、瞬く間に柚の顔が赤く染まる。
「授業中なんだから、こっ…黒板とか先生の方を見なきゃダメだよ…!」
“ほら、ちゃんと見て!”と言わんばかりに黒板の方をツンツンと指差す。
でも、俺は黒板の方に見向きもせずに柚を真っ直ぐ見つめ続けた。
「俺は柚を見てる方がいい。」
「……っ!?」
言葉を詰まらせる柚。
かなり恥ずかしかったのか、俺から慌てて視線を逸らして、再びノートをとり始めてしまった。
そんな仕草も可愛らしくて、笑みが零れてしまう。
今すぐにでも抱きしめたいぐらいだ。
結局、授業なんてそっちのけで柚ばかり見ていた。