不良狼は一途に溺愛中
「ねぇ、蓮ってば…!」
「バイト、やめるなら離してやる。」
「えぇっ!?」
「じゃなきゃ、このまま離さない。」
自分勝手で強引な手段なのは承知の上だ。
男が来るような店でのバイトは、なんとしてでも阻止したい。
暫くの間、柚を力強く抱き締め続けていると、この状況に耐えられなくなったのか、彼女がか細い声を発した。
「わ、分かったよ…。アルバイト、断るから…。」
………よし。
心の中がパッと明るくなり、安堵感が駆け巡る。
今の今まで、強張った表情をしていたというのに、みるみるうちに頬が緩んでいくのを感じた。