不良狼は一途に溺愛中
少しホッとしながら様子を伺っていたのも束の間…
「あっ…」
俺の口から、思わず小さな声が零れる。
なぜなら、男の客が柚に話し掛けてきたからだ。
柚に何かを聞いているような雰囲気だが、男はニコニコしながら彼女を見ている。
その表情に、沸々と怒りが込み上げてきた。
……ふざけんじゃねぇ。
俺の柚に気軽に話し掛けてんじゃねぇよ。
“さっさと離れろ”と心の中で叫びながら、男を鋭く睨み付ける。
強く念じたおかげか、男は少し会話をした程度で柚から離れていった。
全く…。
油断も隙もあったもんじゃねぇな…。
俺は、はぁ…と大きなため息を零した。