不良狼は一途に溺愛中

『もしもし、蓮?』


聞こえてきた可愛らしい柚の声に、みるみるうちに頬が緩んでいく。


嬉しい気持ちが心に広がるのを感じた。


「柚…。」


『今ね、バイトが終わったの…。帰り支度したら、お店の前で待ってるね…!』


「あ、いや…。待たなくても大丈夫だ。」


『えっ?』


「もう店の近くまで来てるから。」


っていうか、ずっと店の前に居たし。


『そ、そうなの!?直ぐに行くから、ちょっとだけ待ってて?』


「おう。」


慌てた声でお願いされ、笑みが零れる。


電話を切った後、俺はサングラスと目深に被っていた帽子をとった。


もう偵察の時のように、コソコソする必要はないからだ。



< 71 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop