不良狼は一途に溺愛中
『もしもし、蓮?』
聞こえてきた可愛らしい柚の声に、みるみるうちに頬が緩んでいく。
嬉しい気持ちが心に広がるのを感じた。
「柚…。」
『今ね、バイトが終わったの…。帰り支度したら、お店の前で待ってるね…!』
「あ、いや…。待たなくても大丈夫だ。」
『えっ?』
「もう店の近くまで来てるから。」
っていうか、ずっと店の前に居たし。
『そ、そうなの!?直ぐに行くから、ちょっとだけ待ってて?』
「おう。」
慌てた声でお願いされ、笑みが零れる。
電話を切った後、俺はサングラスと目深に被っていた帽子をとった。
もう偵察の時のように、コソコソする必要はないからだ。