不良狼は一途に溺愛中

店の入り口の辺りに移動して待っていると、程なくして柚が店内から出てきた。


「蓮、お待たせ…!こんなに早く来てるとは思わなかったから、ビックリしちゃったよ…。」


「待ちきれなかったから早めに来た。」


昼頃から来ていた…という事実は伏せておこう。


「そっか…。暑い中なのに、待たせちゃってゴメンね…。」


「柚に会うためなら、暑さなんて…どうってことねぇ。それより、柚は大丈夫か?バイトで疲れてるだろ?」


混雑している店での初バイト。


慣れないことばかりだったろうし、相当…疲れてるはずだ。


「私は大丈夫!忙しかったけど、楽しかったから…。それに、こうして蓮と会ったら疲れも吹き飛んじゃったよ!」


少し頬を赤く染めて微笑む柚に、ドクンッと心臓が跳ねた。


気持ちが軽やかに浮上していく。


長かった一日に対する苦痛なんて、いとも簡単に消えてしまった。



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