不良狼は一途に溺愛中
「可愛い過ぎるだろ、今の。」
俺は柚の小さな手を握って、傍に引き寄せる。
そして、サラサラな髪にキスを落とした。
「きゃっ!れ、蓮っ…ここ外だよ!?」
「んなこと分かってる。我慢出来なかったんだから仕方ねぇだろ。」
えぇっ、と驚きの声を発した柚。
顔は真っ赤だ。
照れる彼女も愛らしくて、ついつい笑みが零れてしまう。
キョロキョロと周りを気にしている柚の手を、俺はゆっくりと引いた。
「柚、今日は俺の家でたっぷり休んで行け。なんなら、泊まってもらっても構わねぇし。」
っていうか、泊まっていって欲しいのが本音だけど。
「と、泊まるのは無理だよ…!着替えとか、何も準備して来てないし…。ま、また次の機会にしてもいい?」
アタフタする柚の目は潤んでいた。
その表情で懇願されるとダメなんだよな。
無理に押し通せねぇ。
「わ、分かった。泊まるのは…また今度な。」
少し残念な気持ちを抱きながら、柚に微笑みかけた。