不良狼は一途に溺愛中
「ねぇ、柚ちゃん。今度の土曜日って何か予定ある?」
「えっと、特に無い…です。」
「そっか!それなら良かった!」
笑顔で頷く兄貴を見た俺は、首を傾げた。
「おいおい、何がいいんだよ。っていうか、柚は今度の土曜日も俺の家で過ごすんだけど。」
夏休みは基本、殆ど柚と会うことになっている。
兄貴に邪魔される筋合いは無い。
「あ、あの…お兄さん。土曜日に何かあるんですか?」
「実は、美咲が柚ちゃんに会いたがってるんだよね。だから、俺の家に遊びに来て欲しいな…と思ってさ。」
な、何っ!?
兄貴の家に柚が遊びに行くだと?
そんなのダメだ、ダメだ!
一人で行かせるなんて、ありえねぇ。
兄貴に断りを入れようとして、立ち上がろうとすると、柚が俺のTシャツの裾をキュッとつまんだ。