週末の薬指
「ま、幸せそうでなにより」

弥生ちゃんが諦めたように呟くと、

「写真、撮っておきます?」

シュンペーがからかうように笑った。

きっと、午後からは、シュンペーからの視線が気になって仕事にならないだろうな……。

夏弥の事、隠すつもりもないけれど、こうして二人並んでいるところをまじまじと見られてるのは居心地が悪すぎる。

夏弥は平気そうだけど。

「で、シュンペー結婚するんでしょ?」

そんな甘く照れくさい空気の中でぼんやりしている私を無視するように、弥生ちゃんはぽんとシュンペーの頭をこづいた。

私と一緒にシュンペーを可愛がってる彼女だから、嬉しくてそんな風になっちゃうんだろうけど、シュンペーは本当に痛そうに顔をしかめた。

「痛いですよ、弥生さん……。それに、どうしてその事を知ってるんですか?木内さんから聞いたんですか」

「ち、違うよ、私言ってないし」

シュンペーに軽く睨まれて、思わず手を顔の前で横に振った。

何も言ってないよ。

「花緒から聞いたんじゃないよ。こないだシュンペーが女の子と産婦人科から出てきたところを見たからね。そう推理しただけ」
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