週末の薬指
落ち込んだ声で泣き出しそうな瞳のシュンペーは、俯いて肩を震わせている。
今日までの何日かを、かなり悩んだのは間違いなくて、彼女との話し合いも暗礁にのりあげてるんだろうとわかる。
どうしようもなくて、仕方なく私に相談したんだろうとはわかるけど。
やっぱり、つらいな。
「シュンペー、せっかく両親二人がそろってるんだから、何が何でも籍は入れて、子供にはお父さんもお母さんも与えてあげなさい……。
私みたいな私生児は、背負わなくてもいい苦労を背負っちゃうんだからね」
それだけ言って、私は『ごめん』、そう呟いた。
シュンペーだって切羽詰まって私を頼ってきたんだと頭では理解しているけれど、あまり話したくない。
自分が抱えてきた切なさを、人に露わにできるほど強くないから、これ以上は何も言いたくない。
心配げに私を見つめる弥生ちゃんに小さく笑って、夏弥が握ってくれている手に私の手を重ねて。
『大丈夫』と伝える。二人がこの場にいてくれてよかった。
もしかしたら、弥生ちゃんがこの展開を予想していて、夏弥を呼んでくれたのか
な……。
ふとそう思って、一気に複雑な気持ちが溢れる。
泣きそうだ。