週末の薬指
「花緒だって、俺が初めてじゃないだろ?……すげーむかつくけどな」

「むかつくって……」

「大丈夫だよ、俺が最後の男になるってわかってるからむかつく気持ちはどうにか抑えるよ」

「うん。私も我慢する」

視線を絡ませながら、二人でそっと苦笑した。

確かに、夏弥がこの年まで、この見た目で何もなかったなんて信じられないけど、それでも私が初めてじゃないってはっきりと言われると悲しい。

自分の事を棚にあげていいのなら、泣きたいくらいだ。

こんな切ない感情を持つのも初めてで、悔しい。

「我慢してくれる花緒の気持ちに甘えていいなら、話していいか?」

声音が真面目なものに変わった。

私の体に回された手が熱くなった気がしてどきっとする。

何を言われるのかと不安が溢れて、鼓動も跳ねてうるさい。

「俺と蓮は幼馴染で、昔からの長い付き合いなんだ。お互いの事はなんでも知ってるし許しあってる。
性格が似てなくて、反発する事も多いけどお互いの幸せを第一に考えてる。
で、うぬぼれてるって言われるかもしれないけど、俺らは昔からかなりもてたんだよな。
正直、学生時代はかなり遊んでた頃もあったんだ。……ひいたか?」
< 162 / 226 >

この作品をシェア

pagetop