週末の薬指
私の気持ちを探るように見つめてくる夏弥は、唇を歪めて緊張している。

『かなり遊んでた』

なんて聞かされて、いい気持ちになんてなるわけない。

ましてや自分が一生を共に過ごそうとしている人からの言葉なら尚更だ。

「ひいてないかと言えば、ひいてる。でも、遊んでたって聞いてもぴんとこないかな。私、恋愛の経験値低いし……」

「遊んでたっていうのは、きっと予想通り。恋人じゃないのに抱いた女はそれなりにいた。あ、でも二股はしてないし、裏切るような事はしてない。長続きしなかったってだけ。で、絶えず女がいた」

「……絶えず、いた。そう。かなりもててたんだ」

力なくそう呟くと、夏弥は申し訳なさそうに顔をしかめて

「悪い。でも、過去は変えられないし、これからも蓮と付き合っていく以上、俺の過去を少しずつ聞かされるよりは、今俺から言っておいた方がいいと思う。
俺、大学時代に付き合っていた女にとことん惚れてたんだ。一緒に暮らしたくてバイトも必死にやって金貯めて。
彼女は年上で働いてたから早く追いつきたくて無理もして合わせて」
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