週末の薬指
「お持ち帰りなんて……ないですよ。コンパ自体そんなに行った事ないんです」

そっと、瀬尾さんから離れて距離を作った。

とはいっても手を繋いでいるから限界はあるけれど。

「恋人は?今までいなかったってことはないよね」

「はい……いた事はあります。もうかなり前の事ですけど」

呟きながら、以前つきあっていた悠介の顔が浮かんできて、少し切なくなる。

入社してからすぐに付き合い始めた悠介とは、かなり傷つけられて別れた。

私一人が傷ついたわけじゃない、きっと悠介だって傷ついただろうし、悩んだとはわかっていても、やっぱり思い出すと今でもつらい。
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