週末の薬指
恥ずかしげもなく語る夏弥に、言葉を失った。
私の事をとても大切にしてくれるし、愛してくれているとわかっていたけれど、ここまで浮足立っているとは思わなかった。
かなり、結婚を楽しみにしてることがわかって、どうにも恥ずかしい。
「週末に指輪をはめて出かけるのが楽しみだ。あ、温泉ってプラチナは大丈夫なのか?変色したりしないのか」
独り言を続ける夏弥の隣で、曖昧に相槌を打ちながら、どんどん私も楽しみになっていく。
週末、二人の薬指には愛し合う証がこれから永遠に輝くはず。
そして。
「愛してるよ、花緒」
甘い言葉も何度も繰り返されるはず。
【FIN】