週末の薬指
まさかおばあちゃんの口からそんな言葉たちが飛び出すなんて思ってもいなくて、ただおばあちゃんを見つめるだけしかできない。

元々はっきりとした性格で、細かい事にはこだわらない人だから、私の恋愛にも鷹揚に接してくれていた。

それは学生時代から今まで、ずっと変わらないスタンス。

海外旅行に行く時も、女の子ばかりで行くよりも男の子が混じっている旅行の方が安全だと言っていたくらいで。

私の生活の中の男性の存在や、恋愛の進め方については私よりもあっけらかんとしたもの。

そんなおばあちゃんには慣れているつもりでいたけれど、こうして大人になった今でさえインナーのデザインでだめ出しされるなんて思ってもみなかったな。

確かに私が用意したインナーのデザインは特に特徴もない簡単なデザイン。
まさかバックプリントっていうわけではないけれど、男の人に見せる為に作られた繊細なデザインには程遠い。

悠介と別れて以来、男の人に素肌を見せる機会なんてなかったせいか、クローゼットの引き出しに並ぶ色合いも淡い色が多い事に気づいて苦笑してしまう。
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