しおり
私は、わかっていたはず。



段々と樹の手が冷たくなっていっていることを。



なのに、現実に目を向けたくなかった。



「い、い、樹??どうしたの?続きを言ってよ。こうき、私をビックリさせようと
して、寝てるんでしょ??早く起きてよ!いつもみたいに時計台へ行こうよ。」


気が付けばこんなことを言っていた。



「乃愛ちゃん…残念だけど、樹は…ウッ」





「おばさん!嘘でしょ?嘘つて言ってよー!ウッッウッッ」





私は、泣き崩れた。
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