楽園に咲く花
魔術師の弟子
「お師匠様ぁ~!」
元気いっぱいな声が王宮付き魔術師の一軒屋に響き渡る。
久しぶりの休暇を満喫していた王宮付き魔術師のゼロスは、白銀の腰まである髪を一くくりにまとめてしばり、ゆったりと椅子に座りながら紅茶とともに本を読んでいた。
弟子の声を聞き取ると眉を潜めながらも、聞かなかった振りをしてまた本に視線を落とす。
「お師匠様ぁ~!」
トタトタトタッという少女が駆ける足音がゼロスの元に近づいてきて、
バンッ
という大きな音と共に、ドアが乱暴に開かれた。
ゼロスは、
「はぁ」
と深いため息をついて、視線を本から弟子である少女に移す。