終わらないエンドロール

両親の悲痛な表情を目にして本気だ、と気付いた舞子は言葉を失った。

どうして自分が精神科なんかに連れて行かれなければならないのか分からない。
頭が悪いから? 馬鹿だから?
そんな理由で精神科に行くなんて有り得ない。

「もう予約はしてある。行こう」
「大丈夫よ、もう大丈夫だからね」
「パパ、ママ、あたし平気よ」

――だってどこもおかしくなんかない。
両親は舞子を見つめてまた苦しそうに溜息をついたが、何も言わなかった。

「ちょっと待って、着替えてくる」
「ええ、いってらっしゃい」

舞子は平静を装って二階の自室に向かった。

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