ゼロの行方

第二章

ログ

『タイタン』の隔離室に設けられた防護区画の中に『レアⅡ』で発見された生存者が横たわっている。それを見守る様に『レアⅡ荷重向いた医療チームが囲んでいた。
「確かにあの症状はエボラ出血熱に似ているわね」
　隔離室を見渡せるガラスの外側で医師のレイカＬ１ー１１５Ｆが呟いた。
「しかし、感染ルートがわかりません」
　消毒処理うぃを受け、防護服を脱いだジョナサンが応えた。彼に同行したロボット達は隔離室の中にいる。彼女達は生存者から献体を取ると共に、様々な治療を試みていた。その中でルナは『レアⅡ』のマザーコンピュータから得たデータを『タイタン』の マザーコンピューターにアップロードしていた。
「ルナが持ち帰ったデータにその答えがあるかもよ」
　レイカが微笑んだ。
　生存者の状態はかなり重篤だった。感染してからどのくらい経っているかはわからなかったが、体温は四十度近く、出血は体表だけではなく体内の臓器にも見られていた。自発呼吸も困難で意識レベルも低い。
「彼、もう駄目かもしれない…」
　隔離室内を見つめてレイカは首を横に振った。
　ジョナサンは壁に取り付けられているインジケーターを見つめていた。それはルナがデータをアップロードしている今日強を示しており、現在六十五パーセントを示していた。