ゼロの行方
ルナは医療室の中で『レアⅡ』からダウンロードしてきたログを分析していた。ジョナサンからの指示でこの一ヵ月間の『レアⅡ』が外部と接触した記録を調査し、感染の家庭を時系列で調べていた。それによると『レアⅡ』にはここ一ヶ月の間、外部から人が入ってきたという記録はなかった。ただロボットが三台地球から納入されていた。そのうち二台は掘削用のロボットで一台がRシリーズのヒューマノイドだった。このヒューマノイドは『レアⅡ』で感染しつつあるインフルエンザの治療薬を積んでいた。そしてこの治療薬を投与されたものが最初の感染者であったことがわかった。
ルナは分析した結果をガラスの向こう側にいるジョナサンとレイカに報告した。
「どういうことなの??」
レイカが予想もしていなかった結果に疑問を持った。
「どうやらこの感染症は宇宙から来たものではなく、地球から来たもののようです。インフルエンザの治療薬に混入して」
ジョナサンが応える。
「でも、ロボットはそれを分析するはずよ。そこで撥ねられるし、第一そんなものは三原則の第一条が許さない」
「何らかの方法でロボットが騙されたということではないでしょうか」
「騙される?
「偽の検査結果のデータインプットされたのでしょう」
ジョナサンはコンソールを操作して納入されたRシリーズのデータを呼び出した。そしてそのデータの一点を指さした。
「ここに検査結果のデータがインプットされたあとがあります。そしてこちらには再検査の必要がないという命令が与えられています」「でも、第二条が…」
「インフルエンザの治療薬であると証明されていますから、第二条ただし書きには抵触しません」
ジョナサンは冷たく言った。
レイカの表情が硬くなる。
「それじゃあロボットにも殺人は可能じゃない」
「いえ、正確には殺人ではありません。ロボットは治療薬と知らされているのですから第一条によって人間を守ろうとしています。ですからこれは事故ということになります。もっとも、結果的に人を傷つけていますから、このロボットは機能不全になっているはずです」
沈黙が二人の間に流れる。
「第一条にも抜け道があるということかしら」
「人間の手によって、周到な準備がなされれば、ということでしょう。」
「陰謀、っていうこと?」
「その可能性はあります」
「でも、誰が、何の目的で?」
「わかりません、でもここに『ゼロ計画』という記述があります」
ジョナサンはログの一点を示した。
そこには『ゼロ計画』発動という記述があった。
ルナは分析した結果をガラスの向こう側にいるジョナサンとレイカに報告した。
「どういうことなの??」
レイカが予想もしていなかった結果に疑問を持った。
「どうやらこの感染症は宇宙から来たものではなく、地球から来たもののようです。インフルエンザの治療薬に混入して」
ジョナサンが応える。
「でも、ロボットはそれを分析するはずよ。そこで撥ねられるし、第一そんなものは三原則の第一条が許さない」
「何らかの方法でロボットが騙されたということではないでしょうか」
「騙される?
「偽の検査結果のデータインプットされたのでしょう」
ジョナサンはコンソールを操作して納入されたRシリーズのデータを呼び出した。そしてそのデータの一点を指さした。
「ここに検査結果のデータがインプットされたあとがあります。そしてこちらには再検査の必要がないという命令が与えられています」「でも、第二条が…」
「インフルエンザの治療薬であると証明されていますから、第二条ただし書きには抵触しません」
ジョナサンは冷たく言った。
レイカの表情が硬くなる。
「それじゃあロボットにも殺人は可能じゃない」
「いえ、正確には殺人ではありません。ロボットは治療薬と知らされているのですから第一条によって人間を守ろうとしています。ですからこれは事故ということになります。もっとも、結果的に人を傷つけていますから、このロボットは機能不全になっているはずです」
沈黙が二人の間に流れる。
「第一条にも抜け道があるということかしら」
「人間の手によって、周到な準備がなされれば、ということでしょう。」
「陰謀、っていうこと?」
「その可能性はあります」
「でも、誰が、何の目的で?」
「わかりません、でもここに『ゼロ計画』という記述があります」
ジョナサンはログの一点を示した。
そこには『ゼロ計画』発動という記述があった。