ゼロの行方
医療室に設けられた隔離区画は一部を除き撤去されつつあった。『レアⅡ』の生存者が使っていたベッドやルートを取っていた点滴のチューブ、呼吸器など彼に直接触れていたものは全焼却処理に回され、それ以外のものは入念な消毒を行った。勿論ロボット達も例外ではなかった。ルナやエレナも前進を消毒され、二時間後に通常の区画に戻っていった。
一部のロボットは生存者から採取した検体の分析のために隔離区画の残された部分に留まっていた。
これまでの分析の結果、この病を引き起こしていたのはエボラ出血熱を引き起こすウィルスの亜種であると考えられていた。大きさが八〇〇nmの紐状のRNAウィルスであることが確認され、症状がまさにエボラと同じであったのでそう考えられた。
ただ、感染の仕方がハッキリとはしなかった。通常のエボラ出血熱では患者の血液、分泌物、排泄物や打席などの飛沫が感染源と鳴るのだが、今回の症例の場合、『レアⅡ』のマザーコンピューターの記録を見る限りそのような形跡は見当たらなかった。
例のインフルエンザの治療薬と偽られた薬物を投与された最初の感染者も投与以前から医療室に隔離されており、彼と接触した者は記録を見る限り居なかった。
つまりその患者は完全に外部から遮断されていたのだ。
それでも、医療室の付近に勤務している者から徐々に艦船は拡がっていったのである。
「コンピューター、隔離区画とその周辺の図面を見せて」
レイカはディスプレイに向かって指示を出した。程なく彼女の前にあるディスプレイに隔離室とその周辺の図面が映し出された。
それによると医療室と隔離区画の遮断は問題なく行われていた。薬品を外部から入れる場合もその通路には二重の消毒設備が設けられており、隔離区画へ空気を送り込むダクトにもフィルターが幾層にも設けられており、たとえウィルスでもそこから外部に漏れ出すことはないと思われた。
それでもパンデミックは起こったのだ。
「一体、何処から漏れ出したというの?」
ディスプレイに表示された図面からは答えが得られない事にレイカは打ちのめされていた。感染経路が解らない限り『タイタン』の中でもパンデミックは起こりえるのだ。レイカははやる気持ちを抑えながら考えられる限りの感染ルートを探した。
一部のロボットは生存者から採取した検体の分析のために隔離区画の残された部分に留まっていた。
これまでの分析の結果、この病を引き起こしていたのはエボラ出血熱を引き起こすウィルスの亜種であると考えられていた。大きさが八〇〇nmの紐状のRNAウィルスであることが確認され、症状がまさにエボラと同じであったのでそう考えられた。
ただ、感染の仕方がハッキリとはしなかった。通常のエボラ出血熱では患者の血液、分泌物、排泄物や打席などの飛沫が感染源と鳴るのだが、今回の症例の場合、『レアⅡ』のマザーコンピューターの記録を見る限りそのような形跡は見当たらなかった。
例のインフルエンザの治療薬と偽られた薬物を投与された最初の感染者も投与以前から医療室に隔離されており、彼と接触した者は記録を見る限り居なかった。
つまりその患者は完全に外部から遮断されていたのだ。
それでも、医療室の付近に勤務している者から徐々に艦船は拡がっていったのである。
「コンピューター、隔離区画とその周辺の図面を見せて」
レイカはディスプレイに向かって指示を出した。程なく彼女の前にあるディスプレイに隔離室とその周辺の図面が映し出された。
それによると医療室と隔離区画の遮断は問題なく行われていた。薬品を外部から入れる場合もその通路には二重の消毒設備が設けられており、隔離区画へ空気を送り込むダクトにもフィルターが幾層にも設けられており、たとえウィルスでもそこから外部に漏れ出すことはないと思われた。
それでもパンデミックは起こったのだ。
「一体、何処から漏れ出したというの?」
ディスプレイに表示された図面からは答えが得られない事にレイカは打ちのめされていた。感染経路が解らない限り『タイタン』の中でもパンデミックは起こりえるのだ。レイカははやる気持ちを抑えながら考えられる限りの感染ルートを探した。