ゼロの行方
ミサキから出された指示は専用のコムリンクによってルナに伝達された。この回線は無線であったが一対一の独立したものであり暗号化されているのでマザーコンピューターに傍受される心配はなかった。ルナはその内容の緊急性からそれまで行っていた作業をやめてブリッジに向かった。
しかし艦内はマザーコンピューターによって各ブロックごとに遮蔽されている。従って通常の手段でブリッジに辿り着くことは出来なかった。ルナは自らの陽電子脳にインプットされている『タイタン』の艦内図を呼び出した。
現在ルナのいる区画はDブロック、ブリッジのあるAブロックの真下二十メートルのところだった。通常であれば彼女のいる場所から通路を十メートルほど行くとリフトがありそれでほぼ直接ブリッジに入ることが出来た。 しかし今はマザーコンピューターによってその通路が塞がれていた。乱暴なやり方を選択するならば彼女に内蔵されている溶接用バーナーを使えば壁をぴゃききることは可能だった。しかしそれを使えばマザーコンピューターに行動を知られてしまうため、その方法を選択することは出来ない。だがその壁さえクリアすればリフトまで辿り着くことが出来る。おそらくリフトも動いてはいないだろう。しかし辿り着きさえすればリフトのシャフトを上ることでAブロックまで移動することが出来る。ルナはリフトまで移動する方法を艦内図から読み取ろうとしていた。
すると現在いる場所の近くにメンテナンス用の通路があることがわかった。この通路にはマザーコンピューターの配線、艦内に設置された各種センサーのネットワーク、生命維持装置や人工重力装置のネットワーク等が走っていた。いわば『タイタン』の神経系統のようなものだった。また同時に不測の事態が発生した場合の避難通路でもあった。
そしてこの通路にはマザーコンピューターの支配は及んでいなかった。
ルナは扉を引きメンテナンス通路に入った。 メンテナンス通路の中は静かだった。壁面一面に各種のケーブルが走り内部は白い照明が等間隔についていたが照度はさほど大きくなく薄暗かった。高さはおよそ二メートル。平均身長三メートルのスローンズ人だと窮屈な通路だった。しかも天井からは突起物が出ている箇所もある。地球圏の人間でもそこを通るには注意が必要だった。
その中をルナは苦もなく走る。
ミサキの指示はそれだけ急を要するものだった。
ほどなくルナの前にリフト用シャフトと並行して走る垂直のシャフトが立ちはだかる。ルナはそれを見上げると体内のリレーを作動させる。すると腰の部分から二機の小型ロケットエンジンがせり出してきて青い炎を吐き出した。
ルナの体は鋭い加速をもって二十メートル上の扉に届く。その扉を潜り五十メートル先の扉を開く。
ルナはブリッジの中に入った。
しかし艦内はマザーコンピューターによって各ブロックごとに遮蔽されている。従って通常の手段でブリッジに辿り着くことは出来なかった。ルナは自らの陽電子脳にインプットされている『タイタン』の艦内図を呼び出した。
現在ルナのいる区画はDブロック、ブリッジのあるAブロックの真下二十メートルのところだった。通常であれば彼女のいる場所から通路を十メートルほど行くとリフトがありそれでほぼ直接ブリッジに入ることが出来た。 しかし今はマザーコンピューターによってその通路が塞がれていた。乱暴なやり方を選択するならば彼女に内蔵されている溶接用バーナーを使えば壁をぴゃききることは可能だった。しかしそれを使えばマザーコンピューターに行動を知られてしまうため、その方法を選択することは出来ない。だがその壁さえクリアすればリフトまで辿り着くことが出来る。おそらくリフトも動いてはいないだろう。しかし辿り着きさえすればリフトのシャフトを上ることでAブロックまで移動することが出来る。ルナはリフトまで移動する方法を艦内図から読み取ろうとしていた。
すると現在いる場所の近くにメンテナンス用の通路があることがわかった。この通路にはマザーコンピューターの配線、艦内に設置された各種センサーのネットワーク、生命維持装置や人工重力装置のネットワーク等が走っていた。いわば『タイタン』の神経系統のようなものだった。また同時に不測の事態が発生した場合の避難通路でもあった。
そしてこの通路にはマザーコンピューターの支配は及んでいなかった。
ルナは扉を引きメンテナンス通路に入った。 メンテナンス通路の中は静かだった。壁面一面に各種のケーブルが走り内部は白い照明が等間隔についていたが照度はさほど大きくなく薄暗かった。高さはおよそ二メートル。平均身長三メートルのスローンズ人だと窮屈な通路だった。しかも天井からは突起物が出ている箇所もある。地球圏の人間でもそこを通るには注意が必要だった。
その中をルナは苦もなく走る。
ミサキの指示はそれだけ急を要するものだった。
ほどなくルナの前にリフト用シャフトと並行して走る垂直のシャフトが立ちはだかる。ルナはそれを見上げると体内のリレーを作動させる。すると腰の部分から二機の小型ロケットエンジンがせり出してきて青い炎を吐き出した。
ルナの体は鋭い加速をもって二十メートル上の扉に届く。その扉を潜り五十メートル先の扉を開く。
ルナはブリッジの中に入った。