ゼロの行方
小さな新星となって散っていったロボット艦の破片を蹴散らすように一隻の白い宇宙戦艦が『タイタン』の視界を掠めていく。光子魚雷を撃ち込んだ船のようだ。
その宇宙戦艦は大きな弧を描きながら減速し『タイタン』の右舷に寄り添った。
「艦長、右舷の宇宙船から通信が入っています」
「スクリーンに…」
リサがコンソールを操作すると相手の顔がメインスクリーンに映った。銀色の髪と緑の瞳、バーナード星人だった。
「私は宇宙船『ZEN』の艦長カロンと申します。パーティに割り込んでしまってお邪魔でしたか?」
カロンは皮肉な笑みを浮かべている。
「いえ、感謝しています。私は『タイタン』艦長レナードT1ー014Mです。早速で申し訳ありませんが速やかにこの星域を離脱していただけませんか?」
「それはどういう意味です?」
「詳しいことをお話しする時間はありませんが、我々はある謀略にはまり戦闘行為に至りました。おそらく我々は生きてこの星域を出ることは望めないでしょう。貴方方をそれに巻き込むわけにはいきません」
「もう十分巻き込まれていますよ。それに私たちの文化は傷ついた者を見過ごすという行為を許しません」
スクリーンの向こうのカロンは優しく笑っていた。だがその目は笑ってはいなかった。
「責任は持てませんよ」
「これは貴方の責任ではない。私の船の行動は艦長である私の責任です。よろしいですか大使?」
カロンはそう言うと傍らの男に同意を求めた。スクリーンの隅に移っている大使と呼ばれた男は静かに頷いた。
「事が終わったらこちらで一緒に食事でもしましょう。バーナード星の珍しい酒がありますので…」
「楽しみですな。それでは後ほど」
「それでは」といってバーナード星の宇宙戦艦は通信を切った。
ブリッジを包んでいた緊張が一瞬緩んだ。「油断するな。まだ母船が残っている」
レナードは息を殺して言った。
ジョナサンはコンソールを操作して消失した防護スクリーンを補修していた。
「被害状況…」
「防御スクリーンが八十パーセント消失。修復をしていますが十パーセント程度の復元にとどまりそうです。ハイパードライブエンジン、インパルスエンジンともに良好。船体への被害もありません」
ジョナサンが機械的に答えていく。
『タイタン』のブリッジは先ほどまでの様子とうってかわって静まりかえっている。だが、それは長くは続かないことをブリッジの誰もが知っていた。
「ルナ、敵ロボット艦と接触することは可能か?」
「はい、可能です」
「それではすぐにかかってくれ。接触ができたら敵ロボット艦の動きを止めろ。完全に沈黙させるのだ」
レナードはルナに指示を出すと前方に浮かぶロボット艦を睨みつけた。
「ミサキ、敵ロボット艦に向けて前進。フェイザー砲、光子魚雷発射」
『タイタン』は前方に浮かぶ巨大なロボット艦に向かって速度を上げていった。
その宇宙戦艦は大きな弧を描きながら減速し『タイタン』の右舷に寄り添った。
「艦長、右舷の宇宙船から通信が入っています」
「スクリーンに…」
リサがコンソールを操作すると相手の顔がメインスクリーンに映った。銀色の髪と緑の瞳、バーナード星人だった。
「私は宇宙船『ZEN』の艦長カロンと申します。パーティに割り込んでしまってお邪魔でしたか?」
カロンは皮肉な笑みを浮かべている。
「いえ、感謝しています。私は『タイタン』艦長レナードT1ー014Mです。早速で申し訳ありませんが速やかにこの星域を離脱していただけませんか?」
「それはどういう意味です?」
「詳しいことをお話しする時間はありませんが、我々はある謀略にはまり戦闘行為に至りました。おそらく我々は生きてこの星域を出ることは望めないでしょう。貴方方をそれに巻き込むわけにはいきません」
「もう十分巻き込まれていますよ。それに私たちの文化は傷ついた者を見過ごすという行為を許しません」
スクリーンの向こうのカロンは優しく笑っていた。だがその目は笑ってはいなかった。
「責任は持てませんよ」
「これは貴方の責任ではない。私の船の行動は艦長である私の責任です。よろしいですか大使?」
カロンはそう言うと傍らの男に同意を求めた。スクリーンの隅に移っている大使と呼ばれた男は静かに頷いた。
「事が終わったらこちらで一緒に食事でもしましょう。バーナード星の珍しい酒がありますので…」
「楽しみですな。それでは後ほど」
「それでは」といってバーナード星の宇宙戦艦は通信を切った。
ブリッジを包んでいた緊張が一瞬緩んだ。「油断するな。まだ母船が残っている」
レナードは息を殺して言った。
ジョナサンはコンソールを操作して消失した防護スクリーンを補修していた。
「被害状況…」
「防御スクリーンが八十パーセント消失。修復をしていますが十パーセント程度の復元にとどまりそうです。ハイパードライブエンジン、インパルスエンジンともに良好。船体への被害もありません」
ジョナサンが機械的に答えていく。
『タイタン』のブリッジは先ほどまでの様子とうってかわって静まりかえっている。だが、それは長くは続かないことをブリッジの誰もが知っていた。
「ルナ、敵ロボット艦と接触することは可能か?」
「はい、可能です」
「それではすぐにかかってくれ。接触ができたら敵ロボット艦の動きを止めろ。完全に沈黙させるのだ」
レナードはルナに指示を出すと前方に浮かぶロボット艦を睨みつけた。
「ミサキ、敵ロボット艦に向けて前進。フェイザー砲、光子魚雷発射」
『タイタン』は前方に浮かぶ巨大なロボット艦に向かって速度を上げていった。