ゼロの行方
『アトラス』はイオンエンジンで姿勢制御を繰り返しながら『レアⅡ』に接近していた。
「こちら『アトラス』今からそちらにランデブーします。ドッキングベイを開いて下さい」
先ほどからジョナサンは『レアⅡ』に何度も呼びかけている。しかし、通信機からはノイズが響くだけで『レアⅡ』からの応答はなかった。
「生命維持装置、マザーコンピューター共に正常稼働しています。恐らくオペレーター不在のため反応できないと思われます」
ナビゲーションシートに身を任せている医療用ロボットRU2103F、通称ルナがシャトルがスキャンした内容を副長に報告している。他の医療用ロボットはシャトルのカーゴベイで機器の調整をしている。
ルナは『タイタン』に配備された最後のロボットだったが、最新型のモデルではなかった。搭載されているロボット工学三原則も旧バージョンのものであったし、使用されているパーツも旧式だった。しかし、RU2〇00シリーズはその拡張性に特徴があり、多くの用途に対応できるカスタマイズが容易に出来るので旧式であっても重宝に使用されていた。『タイタン』でルナが任せられているのは主に医療行為であり、三原則が旧バージョンであっても支障はなかった。いや、旧バージョンである方が望ましかった。
「副長、ドッキングベイは正常に稼働しています。外部からのリモート操作が可能です」
ルナは抑揚のない声で言い、両手を『アトラス』のリンクパッドに置いた。このパッドはロボットと『アトラス』の制御部分をリンクさせ、複雑な操作をロボットが行えるようにする装置だった。ルナは『アトラス』の頭脳となり、『アトラス』はルナの目となり、耳となり、手足となった。
「ルナ、最も適したドッキングベイを割り出してくれ」
「はい、第Cデッキが距離、状態共にドッキングに適しています。今からリモート操作により着艦します」
ルナは精神を集中させるように目を閉じ、両手に力を込めていく。それに呼応するようにCデッキが開き始める。
「『アトラス』、『レアⅡ』に着艦します。五、四、三、二、一、着艦」
低い振動が『アトラス』に伝わり、『アトラス』と『レアⅡ』は結合した。
「こちら『アトラス』今からそちらにランデブーします。ドッキングベイを開いて下さい」
先ほどからジョナサンは『レアⅡ』に何度も呼びかけている。しかし、通信機からはノイズが響くだけで『レアⅡ』からの応答はなかった。
「生命維持装置、マザーコンピューター共に正常稼働しています。恐らくオペレーター不在のため反応できないと思われます」
ナビゲーションシートに身を任せている医療用ロボットRU2103F、通称ルナがシャトルがスキャンした内容を副長に報告している。他の医療用ロボットはシャトルのカーゴベイで機器の調整をしている。
ルナは『タイタン』に配備された最後のロボットだったが、最新型のモデルではなかった。搭載されているロボット工学三原則も旧バージョンのものであったし、使用されているパーツも旧式だった。しかし、RU2〇00シリーズはその拡張性に特徴があり、多くの用途に対応できるカスタマイズが容易に出来るので旧式であっても重宝に使用されていた。『タイタン』でルナが任せられているのは主に医療行為であり、三原則が旧バージョンであっても支障はなかった。いや、旧バージョンである方が望ましかった。
「副長、ドッキングベイは正常に稼働しています。外部からのリモート操作が可能です」
ルナは抑揚のない声で言い、両手を『アトラス』のリンクパッドに置いた。このパッドはロボットと『アトラス』の制御部分をリンクさせ、複雑な操作をロボットが行えるようにする装置だった。ルナは『アトラス』の頭脳となり、『アトラス』はルナの目となり、耳となり、手足となった。
「ルナ、最も適したドッキングベイを割り出してくれ」
「はい、第Cデッキが距離、状態共にドッキングに適しています。今からリモート操作により着艦します」
ルナは精神を集中させるように目を閉じ、両手に力を込めていく。それに呼応するようにCデッキが開き始める。
「『アトラス』、『レアⅡ』に着艦します。五、四、三、二、一、着艦」
低い振動が『アトラス』に伝わり、『アトラス』と『レアⅡ』は結合した。