ゼロの行方
地下二階のフロアは凄惨なものだった。通路や個室内に多くの死体が転がっていた。その死体はどれも眼、鼻、口、耳の穴、そして皮膚のできものから大量の血を流していた。基地の床は赤く染まり、粘性の液体は床全体を滑りやすくしていた。
ジョナサン一行は注意深く進み、やがて医務室に辿り着いた。この内部にも無数の死体が転がっており、他と同じ様な様相を見せていた。
「これは…」
ジョナサンは息を呑んだ。
「過去に似た様な症例があります」
エレナが『タイタン』のメインコンピューターのデータベースにアクセスをし、エボラ出血熱に関するデータをダウンロードした。
「エボラ出血熱、二〇世紀後半に発見される。倉庫番をしていた男性が突然三十九℃の高熱と頭や腹部に痛みを感じて入院、その後消化器や鼻から激しく出血して死亡した。その後、男性の近くにいた二人も同様に発症して、それを発端に血液や医療器具を通してして感染した。最終的な被害は、感染者数二八四人、志望者数一五一人となった。エボラ出血熱は突発的に発生・流行し、感染した時の致死率は五十~八十九%と非常に高い」
エレナはダウンロードの内容を読み上げていった。
「エレナ、エボラ出血熱の宿主は?」
「自然宿主はコウモリともいわれています。ガボンのフランスビル国際医学研究センターのチームの調査によると『食用コウモリからの感染』を疑う説がありました。しかし、自然宿主の特定には至っていません」
「だが、レアにコウモリはいない」
ジョナサンは周囲を見回しながら言った。
彼等の周囲には夥しい死体が横たわっていた。そのどれもが体中から出血している。それに、この感染症は短い時間に猛威を振るった様であり、基地内には彼等の他に動くものはなかった。
そのとき、別のロボットが探査機の表示を見て言った。
「微弱の生命反応感知」
「どこからだ?」
「個室です。こちらの方向、距離約二十メートル」
ロボットは先導して歩き出した。ジョナサン一行はその後に続き、やがて一つの個室の扉の前に着いた。
その個室の扉は開け放たれており、ものが散乱した室内を顕わなものとしていた。
ジョナサン一行は注意深く進み、やがて医務室に辿り着いた。この内部にも無数の死体が転がっており、他と同じ様な様相を見せていた。
「これは…」
ジョナサンは息を呑んだ。
「過去に似た様な症例があります」
エレナが『タイタン』のメインコンピューターのデータベースにアクセスをし、エボラ出血熱に関するデータをダウンロードした。
「エボラ出血熱、二〇世紀後半に発見される。倉庫番をしていた男性が突然三十九℃の高熱と頭や腹部に痛みを感じて入院、その後消化器や鼻から激しく出血して死亡した。その後、男性の近くにいた二人も同様に発症して、それを発端に血液や医療器具を通してして感染した。最終的な被害は、感染者数二八四人、志望者数一五一人となった。エボラ出血熱は突発的に発生・流行し、感染した時の致死率は五十~八十九%と非常に高い」
エレナはダウンロードの内容を読み上げていった。
「エレナ、エボラ出血熱の宿主は?」
「自然宿主はコウモリともいわれています。ガボンのフランスビル国際医学研究センターのチームの調査によると『食用コウモリからの感染』を疑う説がありました。しかし、自然宿主の特定には至っていません」
「だが、レアにコウモリはいない」
ジョナサンは周囲を見回しながら言った。
彼等の周囲には夥しい死体が横たわっていた。そのどれもが体中から出血している。それに、この感染症は短い時間に猛威を振るった様であり、基地内には彼等の他に動くものはなかった。
そのとき、別のロボットが探査機の表示を見て言った。
「微弱の生命反応感知」
「どこからだ?」
「個室です。こちらの方向、距離約二十メートル」
ロボットは先導して歩き出した。ジョナサン一行はその後に続き、やがて一つの個室の扉の前に着いた。
その個室の扉は開け放たれており、ものが散乱した室内を顕わなものとしていた。