キミの視線
キミの視線
「おい、カヤもサッカーしようぜ」
昼休み。いつものように外を眺める萱島(カヤシマ)君に、クラスの男子が声をかける。
「俺はいいや、なんか調子わりぃ」
そう言うと、また頬杖をつき、視線を外へと戻した。
―――ウソばっかり。
私はそう思いながら、彼の長いキレイな指に視線を移す。
私が、彼を好きになったきっかけは、この頬杖をつく姿に、整った長いキレイな指だ。
萱島君は、頭が良くて、尚且つ顔もかっこいい。クラスで無口な彼は、あまり目立たない存在だけど、そのミステリアスな雰囲気が、他の子にはない魅力に感じた。
その雰囲気のせいか、女子達が近寄ってくる事なんて、ほとんど無い。
勿論、話している姿も見た事もなかった。
私は毎日、その指と頬杖をつく姿に見とれながら、いつかあの指に触れてみたいと、思うようになっていたんだ。
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