なみだ涙ナミダ
扉の前に立つと、中から何か聞こえて来た。
ぐすっ、と鼻をすするような音と高杉の泣き声のようなもの。
高杉が泣いてる?
泣かせる、みたいなことを言いながら飛び出したが、既に高杉は泣いていると、そういうことだな。
突っ立っていてもしょうがないと思い、ガラッと勢いよく扉を開けた。
するとそこには、やはり泣いている体育座りをした高杉の姿があった。
「なっ...!?」
驚いたような声をあげ、顔を伏せた。
「なんでアンタがここにいるのよ!出て行きなさいよっ、出てけ!」
顔を隠す高杉が必死で、クレームは明日でもいいかな、なんて思った。
「...分かった」
俺は教室に行こうと扉の方につま先を向けた。
するとあっ、という小さな小さな声が聞こえたと思ったら体がツンッ、てなった。
首だけを後ろに向けたら涙目の高杉が、俺のシャツを握っていた。