なみだ涙ナミダ
高杉は顔を真っ赤にしながらボソリ、と何かを言った。
急過ぎて俺はえ?と聞き返してしまった。
「だから...、あの...ごめん、なさい...」
あの我儘姫様が俺に謝った?
「昨日のやつ、頭、とか背中痛かったでしょ?だから...ごめんなさい」
目に涙を溜めながら俺の後頭部を撫でる。その手付きがあまりにも優しくて、本当に高杉なのか疑った。
これが所謂ツンデレ、というやつなのか?
なんか、めちゃくちゃキュンッ、てなったぞ。それと同時にS心が疼いた。
「それで?」
「えっ?」
おれの頭を撫でていた手を掴みとり、高杉の目を見ながら聞いた。
「だから、それで俺にどうしてもらいたいの?」
そう聞けば顔をもっと赤くして、目を泳がせた。
えっとえっと、と一生懸命何かを考えながら足をバタバタさせている。
「えっと...、わっ、私、なかなか素直になれなくて、ありがとう言えなくて...だから、ごめんなさいって、言いたかっただけなの...」
そこまでちゃんと聞いて俺はフッ、と笑った。
「うん、わかってる」
ただの我儘な姫様と思ったが、可愛いところもあるみたいでコイツへのクレームは無しにしよう。