なみだ涙ナミダ
「おい、あの姫様が顔を赤くするところ、見たことあったか?」
「いや、ない...」
「ジュンジュンの前ではいつもあんな感じだぞ」
鈴木の友達であろう男たちの話を聞いてみても、今のメグ姉は珍しいものらしい。
そしてジュンジュン、恐らく鈴木のことだろう。やはり鈴木の前では少なからず、いつもの他人と接するメグ姉ではない。
あんなに顔真っ赤で、まるで恋する女の子じゃないか。
***
アイスが少し溶けて手に垂れて私は我に返った。
こんなつまらない言い争いをしてる場合ではないのだ。
アイスが溶けてマズくなってしまうじゃないか。
「ねぇ高杉、俺にもアイスくれ」
にかー、と笑いながら自分の口を指差す鈴木。